信州伊那にも住んでいる。
「も」と言うことは,別の拠点もあるということで,たしかに東京にも住んでいる。
以前,ここに本社がある企業から経営コンサルティングの依頼を受けて,1995年から数年間この地に通った。その時のコンサルティングのテーマがおもしろいのだが,それはいずれの話にしよう。ともかく年間数十回通うこと数年。いつ訪れても景色が綺麗だった。伊那谷の一番低いところが天竜川。その川を挟むように東に南アルプス,西には中央アルプス。そう日本を代表する二つのアルプスの間にあるのが伊那谷。春夏秋冬それぞれの顔があり,どれも表情豊かで,東京から出張する数日間は,まさに心が洗われるようだったことを覚えている。
「住んじゃおうか…」心の中でつぶやいた。
それがまさに「言霊」。そんなことを周りの人に,冗談とも本気ともなく語っていたら,いつぞや「浜田さん,土地が出てるよ」と教えてくれた。山小屋でも建てようかと思っていたら,しっかり長野県産材で家を建てることになっていた。おそらく言霊が発端で,おかげさまですべて周りの人が助けてくれた。ほんとうにありがたいことです。
そして1999年から建て始めて,2000年には伊那と東京の二住生活が始まった。最初は週末だけのつもりだったが,大学で教鞭を執り研究者の生活になると,まとまった夏休みなども滞在できるようになった。それでも大学という特殊な仕事に就いている特権かなと思っていた。
ところが今やコロナ禍のせいで,サラリーマンでも毎日出勤しなくても良いことが判明してしまった。いよいよ都市集中生活におさらばだ。縛られずに生きていきましょうよ。それ「も」新しい生活様式なのかもしれません。