明治5年11月12日、太政官布告(第373号)で「爾今礼装には洋服を採用する」と布告され、洋服が儀礼時の定服となった。
それまでの直垂(ひたたれ)・狩衣(かりぎぬ)・裃(かみしも)等は全て廃止された。
明治新政府が発足以来、平民出身の役員が、それまでの公家や武家の格好で式典などに参加するのは、確かにチグハグであったとは思う。したがって、フロックコートや燕尾服を纏う人が増えたのだろうが、テーラーや吊るしの洋服もない時代、なかなか普及は進まなかったであろう。
しかし、この太政官布告により東京では多くのテーラーが誕生し、一気に洋服が普及していったのだろう。
昭和4年に、テーラーの組合である東京洋服商工業組合が11月12日を「洋服記念日」と定め、現在に至っている。
最近、京都では和装で街を歩く観光客をよく見かける。貸衣装が流行っているのだ。洋服記念日に際し、和服の良さもあらためて知ってみたいと思う。