#9 フォーマルな酒カジュアルな酒
世の中にはフォーマルな酒とカジュアルな酒があると思っている。
フォーマルな酒の代表格はシャンパンであり、お屠蘇のように赤い塗りの酒器でいただく日本酒だ。
フォーマルな酒はやはりフォーマルな気分で飲むのが良い。
凛とした気分で飲む酒はまた格別だ。
ここで大切になってくるのが、凛とした雰囲気に似合う服を着る事。着る服と酒のマッチングは、酒と肴のマッチングほどではないが、結構大切だと思っている。
ビシッとタキシードで決めて飲むシャンパンはジェームス・ボンドの気分を味あわせてくれる。
昔、舞台用の裃(かみしも)を着て、居住まいを正して飲んだ事があるが、サムライにでもなったような清廉な気分になったものだ。
一方、トロピカルなフルーツをあしらった華やかでカジュアルなカクテルは、やはりプールサイドでアロハシャツが似合う。
冬場に焦茶色のツイードのジャケットで決めて飲みたいのは、シングルモルトのスコッチウィスキーだ。気分はさしずめイギリスの大学教授か。
酒は所詮趣味のもの。飲まなくても死ぬ訳では無いし、なくたって生きていける……はずだ。自信は無いが。
趣味なら趣味として、飲む場所や着る服にまでこだわってみるのも悪くない。