日々一献に偽りあり その1」
食との深い付き合いについて語ったが、酒との付き合いも浅からぬものがある。
酒は流石に小学生からというわけではないが、かれこれ40年近く毎日飲む生活を続けていた。カクテルを真面目に勉強した時期、ワインに凝ってオークションにまで手を出した時期、ウィスキーに傾倒した時期、日本酒にはまった時期、いろいろな時期を経て今に至る。
毎日飲むとは言え、深酒するわけではない。平日は焼酎やウィスキーなどの蒸留酒を2〜3 杯、週末や休日はワインや日本酒を食事と共に楽しむ。飲まないのは人間ドックの前と熱が出た日ぐらいだ。
ところが4年ほど前のある日、ふと思った。
僕は社会人対象の大学院で教鞭をとっているのだが、働きながら学ぶ人たちのために平日の講義は19:00-22:00と、かなり遅い時間に設定されている。講義を終わって家に帰り着くと23:00を回っている。そこから風呂に入り、やおら飲み始めるのが深夜0:00。当時は朝の番組の出演などもあったため、グズグズ飲んでいるわけにはいかない。「早く飲まなきゃ!」。いつも急いで飲んでいた。
「、、、、何やってんだ?」
我に帰って、己のやっていることに疑問を抱いた。
楽しみのための酒ではなく、まるで義務のように飲んでいる自分を発見したのだ。なんとかせねば、そう思った。