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  伝え方「行動変容のコミュニケーション」
Rakza MAGAZINE

伝え方「行動変容のコミュニケーション」

2021.01.23
DIARY
浜田 正幸

最近,疑問に思うことがあります。

2回目の緊急事態宣言が発出されてから,1回目の時と比較すると外出する人が増えていると報道されています。たしかにどこを見ても人出はコロナ以前と変わりなく,春のそれとは段違いなのは明らかです。政府や知事,専門家は,事実に基づいて第二波,第三波とさらにその先の危険性をしきりにうったえていますが,「コロナ疲れ」や「コロナ慣れ」でゆるんだ緊張は戻らない状況です。

ところで,コミュニケーションをビジネスとしているプロたちが,その卓越した技術で,このような時だからこそ,自粛の行動変容をもたらすようなコミュニケーションをすべきだと思うのは私だけでしょうか。マスコミも広告会社も政治家や専門家が言っていることをそのまま繰り返すだけです。ドラマやバラエティで人を泣かせたり笑わせたりすることができるテレビ局や,人に購買行動を起こすような広告宣伝が得意な会社にこそ,人との接触を減らし外出を自粛させるような効果的なコミュニケーションを発してもらいたいと思うのですが,なぜそうしないのか。そのことを疑問に思っているのです。

私はコミュニケーションのプロではありませんが,心理学におけるコミュニケーションの知見はあります。例えば,恐怖喚起の広告は,消費者は受け入れづらいことがわかっています。生命保険や損害保険は,もしものあまり起こってほしくない事態に対処する商品ですが,広告では悲惨な状況を想像させて,「このような事態を避けるために保険に入りましょう」とは決して言いません。逆に「保険に入っていてよかった,安心」をしきりにうったえています。

ネガティブコミュニケーションよりもポジティブコミュニケーションの方がはるかに有効なのです。

ところが,マスコミでは「自分が感染したら大変」「重症化や後遺症の危険性があります」「自分だけでなく祖父母に感染させると重症化のリスクが高くなります」など,ネガティブコミュニケーションのオンパレードです。政治家や専門家は事実を事実のまま述べて良いと思うのですが,コミュニケーションのプロもそのままというのでは,あまりにも芸がないではないですか?

これを保険の広告のようにポジティブコミュニケーションに変えたらどうでしょう。

(あまりにもベタですが。プロはもっと魅力的に見せることができると思います)

・好きな人と会って触れ合うことができる

・人と会って,握手したりハグしたりできる

・気兼ねなく人と会い,おしゃべりできる

・美味しいものを人と一緒に食べることができる

・大きな声でおもいっきり歌うことができる

・いつでも好きなだけ外出することができる

・海外旅行に出かけることができる

そのために,

今しばらく,外出を自粛して,人との接触を減らして,できるだけ早く,楽しく豊かで安心な社会を取り戻しましょう!

こちらの方が,共感してもらえると思いませんか?

浜田 正幸
Masayuki Hamada
研究担当教授の浜田正幸です。 日本の『働く』をおもしろくする! 幸福なキャリア研究をお届けします。
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