#3 「我がぐれいとへの道」
ぐれいとな仲間に取り囲まれながら、ここしばらく自分について考えてみた。
自分を振り返って改めて思ったのは、食べることと飲むことがやはり好きなんだな、という事実だ。前の晩から翌朝の朝食について考えている。朝ごはんが終わったら、昼が楽しみで仕方がない。僕は残り物をアレンジしてまるで別物に変身させるのが趣味なので、朝からレシピを組み立てている。週末の夜などは食がその日の最大のイベントになることが少なくない。
自分は生きるために食べるのではなく、食べるために生きているようだな、と思う。
実際、酒と料理との付き合いは長い。
料理は記憶にある限りでは小学生の時にはすでにインスタントラーメン程度は作っていた。当時から一工夫するのが好きで、ありあわせの野菜を炒めて入れたりアレンジを楽しんでいた。
ボーイスカウト活動ではアウトドア料理も学んだ。竹を切ってきて流しそうめんを楽しんだり、真夏のキャンプで水羊羹を作ったり、色々なものに挑戦してきた。
本格的に料理を始めたのは大学院に通っていた時。一人暮らしをしていたのだが、三食外食では体にも財布にも負担が大きいと気付いたことから、自炊を始めた。そこからは、貪るように料理に関する本を読みまくり、片端から作っていった。食の知識が増えるに従い、食の蘊蓄を語るのが楽しみになった。作る、食べるといった本来の目的から派生して、食について学ぶことそのものが面白くなっていった。