1885年8月14日、日本初の専売特許が交付された。
特許の第1号は、堀田瑞松(ほったずいしょう)が出願した「堀田錆止塗料及ビ其塗法」であった。
堀田は木竹彫刻、とくに紫檀彫刻を得意としており、内国勧業博覧会などに出品して好評を博していた。
錆止め塗料は、漆や柿渋、鉄粉、酒精、生姜など、日本の伝統的な材料を活用したものであった。
この塗料は主に、鉄製船舶の船底の防錆を目的とし海軍などにも使われ、ロシアの旗艦「ドミトリイ・ドンスコイ」はこの塗料の採用により防錆効果の成績が良く、翌年日本を再訪したとき艦長のスクルイドルフ大佐は堀田を招待して謝意を表したという。
それにしても、漆や柿渋で鉄の船底を塗装するとは。日頃からそのような素材に触れているからこその発想だろうか。
立派な日本の特許第1号だ。