宮沢賢治で一番最初に思い出すのは、その豊かなオノマトペ(擬声語)の表現だ。
「風の又三郎」の風の音、「どっどど どどうど どどうど どどう」であり、
「注文の多い料理店」で鉄砲を担いだ紳士が言う「なんでも構わないから、早く『タンタアーン』とやって見たいもんだなあ」であり、
「セロ弾きのゴーシュ」がセロの音「ごおごおがあがあ」であり、
「銀河鉄道の夜」でカムパネルラが立ち上がる「もぢもぢ」であり、
「よだかの星」のよだかの鳴き声「きしきしきし」である。
もちろんこの表現は、賢治の類稀なる感性のせいもあるし、ロジャー・パルバースが言うところの「比類のない神秘性」を持つ東北地方のなせる技なのかもしれない。
パルバースに言わせると、東北には座敷童子と賢治・啄木・太宰・寺山がいる場所だから。
夢のような場所だ。
今日は、宮澤賢治を読んでみよう。