1900年3月28日、スウェーデンの地理学者であり中央アジア探検家のスヴェン・ヘディンによって、廃墟になっていたシルクロードの古代都市・楼蘭が発見された。
「シルクロード」とは、古代の中国と西洋を結んだ歴史的は交易路をさす言葉だ。絹が中国側の最も重要な交易品であり、この道を通って西洋に運ばれたことから名付けられた。
シルクロードは、紀元前2世紀から18世紀にかけて、経済・文化・政治・宗教など様々な分野で、お互いの社会に大きな影響を及ぼした。
そのあまりにも時空を超えた規模のシルクロードゆえに、日本では独特のエキゾチシズムやノルタルジアと結びついている。
僕にとっては、シルクロードでいちばんに思い出すのは久保田早紀の楽曲だ。
1979年10月1日発売のこの曲は、CBSソニーが当時、異国を意識した曲作りを進める戦略の中に取り込まれ、タイトルも「異邦人−シルクロードのテーマ−」として大ヒットすることになる。
元々は、国立(くにたち)の大学通りをイメージした歌詞をシルクロードに置き換え、「白い朝」というタイトルだったのを「異邦人」とし、萩田光雄のアレンジはシルクロードを意識した中東風なイントロがつけられた。
民族楽器ダルシマーが使われ、羽田健太郎がピアノを弾いたこの曲は、出来上がってしまうと、どこから見てもどう聴いても「シルクロードのテーマ」になっていた。
当時大学4年だった僕は、プロの仕事ぶりに恐れ入ったことを覚えている。
様々なものが行き交うのが「シルクロード」なのだと改めて感じ入った。