天正10(1582)年6月2日、本能寺の変で織田信長は自害する。
明智光秀による謀反であったため、この日は「裏切りの日」と言われるようになった。
2020年の大河ドラマ「麒麟が来る」は、まさにこの日をメインにしたカウントダウンのドラマだったと思う。
なぜ、明智光秀が主君を襲撃したのか、その理由は今になっても、明確にはわからない。
ただ、共廻りを連れず、小姓衆だけを連れて安土城から上洛した信長の行動も信じ難いものだと思う。
光秀も、信長と合戦をしてまで討つつもりなどなかったはずだからだ。
本能寺の変に向かって、何か大きな力が働き始めていたように感じる。
まるでその日その場所に向かって、何かが集まっていくかのような、歴史上の大きな謎のひとつである。
太田牛一が著した「信長公記(しんちょうこうき)」によると、襲撃を知った信長が近侍の森蘭丸に相手を尋ね、明智の軍勢と聴いて「是非もなし」と応えたという。ドラマにも、そのシーンはあった。
このことが事実なら、信長は心のどこか片隅で、少しは予測というか覚悟があったのではないかと思うのである。