「広辞苑」の初版は、定価2000円。当時は公務員の初任給が8700円の時代であり、大変高額であったが大ベストセラーとなった。
2018年には第七版が発行されたが、収録後数25万語と初版より5万語も増えている。
「給水ポンプ」、「スーパー特急」などの言葉は時代の変化により削除され、逆に「ips細胞」、「東日本大震災」、「ちゃらい」、「自撮り」、「リスペクト」などの新語が採用されている。
辞書で思い出すのは、小説であり映画化もされた「舟を編む」(三浦しをん原作、石井裕也監督)だ。先ごろドラマ化もされたので、みた人も多いのではないだろうか?
映画版の印象的なシーンとしては、辞書の紙を模索しているところだが、「指に吸い付くぬめり感」という表現には、とても共感した。実際、「広辞苑」では第六版からチタンが入った紙を使用していて、さらに薄く、裏面の文字が透けない紙となり、第五版に比べて言葉は増えても厚さは薄くなり、重さは増したという。
「舟を編む」にある、
「言葉の海、それは果てしなく広い。辞書とは、その大海に浮かぶ一艘の舟。人は辞書という舟で海を渡り、自分の気持ちを的確に表す言葉を探します。それは唯一の言葉を探す奇跡」。
この言葉、とても好きだ。
なぜ僕が「広辞苑」が好きなのかがはっきり分かった。
同じ時代に生まれた仲間だったのだ。