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  広辞苑記念日
Rakza MAGAZINE

広辞苑記念日

2024.05.25
編集長の独り言
田中 尚雅

「広辞苑」の初版は、定価2000円。当時は公務員の初任給が8700円の時代であり、大変高額であったが大ベストセラーとなった。

2018年には第七版が発行されたが、収録後数25万語と初版より5万語も増えている。

「給水ポンプ」、「スーパー特急」などの言葉は時代の変化により削除され、逆に「ips細胞」、「東日本大震災」、「ちゃらい」、「自撮り」、「リスペクト」などの新語が採用されている。

辞書で思い出すのは、小説であり映画化もされた「舟を編む」(三浦しをん原作、石井裕也監督)だ。先ごろドラマ化もされたので、みた人も多いのではないだろうか?

映画版の印象的なシーンとしては、辞書の紙を模索しているところだが、「指に吸い付くぬめり感」という表現には、とても共感した。実際、「広辞苑」では第六版からチタンが入った紙を使用していて、さらに薄く、裏面の文字が透けない紙となり、第五版に比べて言葉は増えても厚さは薄くなり、重さは増したという。

「舟を編む」にある、

「言葉の海、それは果てしなく広い。辞書とは、その大海に浮かぶ一艘の舟。人は辞書という舟で海を渡り、自分の気持ちを的確に表す言葉を探します。それは唯一の言葉を探す奇跡」。

この言葉、とても好きだ。

なぜ僕が「広辞苑」が好きなのかがはっきり分かった。

同じ時代に生まれた仲間だったのだ。

田中 尚雅
Naomasa Tanaka
クリエイティブ部門を担当する田中尚雅です。MAGAZINの編集長でもあります。
社会が幸福になるには、それを構成する一人ひとりの幸福こそが必須です。 そのために、あらゆる方法で人と伴走したいと考えています。
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