夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘ぢゃないか
あかねだすきに菅の笠
誰もが知っている文部省唱歌の「茶摘み」の歌詞だ。
八十八夜は雑節のひとつで、立春から88日目。
この日に摘んだ茶は上等なものとされ、またその茶を飲むと長生きできるという縁起物でもある。
茶所といえば、埼玉の狭山茶、静岡茶、京都の宇治茶が有名だが、日本各地でイベントも開催されるようだ。イベント用に行われる茶摘みの模様は、本当に美しい。
ところで、葛飾北斎の「富嶽三十六景」の中でも、茶摘みが描かれている。
「駿州片倉茶園ノ富士」とい絵だが、茶を摘む女たちと、交代を待って床几に座る女たちが描かれている。
天保年間にも、茶摘みが初夏の風物詩であったことがわかる。
もっとも、この作品群は版画の浮世絵であり、色使いの都合から茜色の襷でないのが残念ではあるが。
今日は茶摘みに想いを巡らせ、美味しい緑茶を飲もう。