1953年8月28日、日本テレビ放送網が民間放送として初めてテレビ放送を開始した。
記念すべきその放送は、午前11時20分に日本テレビの開局式を放送したもので、初めてのテレビコマーシャル「服部時計店(現在のセイコー)」も放送された。
翌29日には、後楽園球場で行われた巨人対阪神の試合が放送されている。
その日から、もう71年が経ったことになる。
かつてテレビは、夢の詰まった箱だった。昭和33〜34年の頃、同志社大学にほど近い、狭いアパートに住んでいた我が家にテレビがやってきた。
アパート中の人が集まってテレビを眺めていた記憶が、僕の中には確かにある。
テレビは見たことのない風景を見せてくれ、素晴らしい音楽を届けてくれ、アメリカの家庭に起こるドラマをまさに現実のように再現してくれた。
幼い僕は、テレビの番組に夢中になり、ブラウン管から夢の箱の中に入ろうとして頭を押し付けていたらしい。
日本テレビを受験して、内定をもらったことを伝えた時、母が「やっとテレビに入ることができたんやねえ」と言ったことを覚えている。
家具調の扉のついた重厚なテレビ受像機は、いつしか何倍もの大きさの大画面になり、薄型に姿を変え、しかも24時間放送されるようになった。
色がつき、チャンネルは飛躍的に増え、ガチャガチャ回さなくてもボタンに触れるだけで画面が切り替わるようになった。
今も、テレビには夢が詰まっているのだろうか?
テレビは好きですか?