コロナ禍になって変化したことの一つに、「住まい」がある。
仕事のほとんどがリモートになり、また移動の自粛もあって、信州伊那にいることが多くなった。そしてそこにいると、天気の良い朝はだいたい日の出を見ることができる。
頭では理解しているものの、その「日の出」の大宇宙ドラマを毎日体験・実感させられることは思いもよらぬ楽しみになっている。
現在四月の中旬で、春分の日から3週間が過ぎた。もちろん春分の日は真東から日が昇る。ウチから見たこの時の日の出は「釜無山」という真東に位置する山から顔を出した。ところが昨日の日の出は、左つまり北に移動していた。どれくらい移動したのか気になったので、コンパスで測ってみたら86度だった。方位は真北が0度で、真東が90度なので、方位磁石が示すものでは4度北に移動したことになる。
ところが厄介なことに、実は磁石は真北を指していないので、86度というのは測定値であって正しい方位ではない。そもそも真北というのは北極点であり、地図の上部は真北を向くように作成されている。ここにコンパスを乗せると、針は地図の上下を結ぶ線(経度)に平行にならずに、少しだけ左(西)に傾く。というのも地磁気は南極と北極を結ぶ線と平行ではないからだ。このズレのことを「偏角」という。国土地理院の地形図を見るとこの「偏角」が必ず記載されている。山に入って地図とコンパスで地形を読むとき、この偏角を補正しないと正しい情報が得られない。しかもこの偏角は地域や時間で異なる。まあ地球の歴史では、地磁気の北と南が逆転したことが何度もあるそうだから、時と場所で偏角がわずかに変化することくらいはたいしたことではないのだろう。国土地理院のサイトで現在の伊那周辺の偏角は約7度となっている。ということは昨日の日の出の正しい方位は79度で、真東から北へ11度移動していたことになる。
ということで、昨日の日の出は「入笠山」近くからだった。