1959年6月25日、昭和天皇皇后両陛下が後楽園球場で巨人対阪神戦を観戦した。プロ野球初の天覧試合であった。
天覧試合は、プロ野球が日本を代表するプロスポーツとして地位を得るために大切な機会と考えられていたため、両チームは巨人が藤田元治、阪神が小山正明というエースを先発させる。監督も選手も、とても緊張していたという話が伝わっている。
試合はシーソーゲームとなり、9回表が終わって時点で4−4の同点であり、天皇・皇后の観戦できる時間は終わりに近づいていた。
阪神はルーキーの村山実をリリーフに送り、9回裏の先頭バッターは長嶋茂雄だった。
ボールカウント2−2からの5球目、長嶋の打球は左翼ポール側に入るサヨナラホームランとなった。
喜ぶ長嶋、がっくりと膝に手をつく村山の姿が印象的だった。
村山はこの日の悔しさを胸に、日本球界を代表する投手へと育っていく。
プロ野球公式戦の天覧試合は、65年前のこの日以来、一度も行われてはいない。