1945年9月29日、日本の各新聞は前日の天皇陛下とマッカーサー(連合艦隊司令長官)が並ぶ写真を1面に掲載した。
日本政府は即日発売禁止を命じるも、GHQは発禁撤回を指令した。
もちろん、発禁を命じたのはこの写真があまりにもアンバランスであったからだ。服装にしても、態度にしても。さらに身長差がある場合は着席した写真を撮るのが礼儀だったからだ。
マッカーサーは、この時の天皇陛下の発言を「回想記」に残し、その内容は1964年の朝日新聞に掲載された。
『私は国民が戦争遂行にあたって政治、軍事両面で行ったすべての決定と行動に対する全責任を負うものとして、私自身やあなたの代表する諸国の採決に委ねるためにおたずねした』
天皇の来意は命乞いだと思っていたマッカーサーが、この言葉を聞いて驚いたことは想像に難くない。
回想録にこう残している。
「死を伴うほどの責任……明らかに天皇に帰すべきでない責任を引き受けようとするこの勇気に満ちた態度は、私の骨の髄までも揺り動かした。
私はその瞬間、私の前にいる天皇が、個人の資格においても、日本の最上の紳士であることを感じ取ったのである」
写真は、会談の冒頭に取られたものであったらしい。
しかし、会談後であれば、マッカーサーの態度ももっと礼を尽くしたものであっただろうと思う。
79年前の今日の出来事である。