盂蘭盆を控えた8月7日から、京都では「六道まいり」がはじまる。
清水寺にもほど近い六道珍皇寺では、精霊迎えの習慣として行われている。
精霊は槙の葉に乗って帰ってくるとされていて、山道には高野槙を売る店が軒を並べている。
参詣者は水塔婆に先祖の戒名を書いてもらい、迎えの鐘を撞き、水塔婆を賽の河原の「賽」と称する地蔵尊宝前にて、高山槇で水供養する。
この迎え鐘はことに有名で、その音は十万億土の冥土まで届くとされている。鐘楼は壁に囲まれていて鐘の姿を見ることはできないが、太い綱が壁の穴から外に繋がっていて、勢いよく引くと血の底に響くような低い鐘の音が響く。
「六道の辻」は死者の魂を送る鳥辺野の入り口とされていた地。
今は、黄泉の旅人たちがこの境より懐かしの家路を急ぐ。