二十四節気の「寒露」は、暦便覧いよれば「陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすればなり」という頃だ。
かつてこの頃は、日本各地に雁が渡ってくる時期であった。
また菊の頃であり、蟋蟀が鳴く季節でもある。
そしてまた、熱燗の季節でもある。
僕は年を通して清酒は主に燗をして飲むが、「寒露」の頃は、夏は冷やした酒や常温の酒を飲んでいた人も、燗酒を飲む季節ではあるまいか。
気に入りの銘柄を、気に入りの方法で燗をつけ、その時の気分に合う酒器に注ぎ口に運ぶ。
温かな酒は喉から胃の腑へと落ち、秋の喜びを感じる頃。それが「寒露」に他ならない。
今宵、豆腐、塩辛、海苔、刺身を用意して、ゆるりとぬる燗を楽しみたい。
そして今年の寒露・口明けの酒は、黄桜辛口本醸造を用意している。