1968年12月10日午前9時30分ごろ、東京都府中市で、日本信託銀行国分寺支店から東京芝浦電気(現東芝)府中工場従業員のボーナス約3億円を届ける途中の現金輸送車が、白バイ隊員を装った男に強奪される事件が発生した。
遺留品が多く、すぐに解決するとの憶測もあったものの、犯人を特定することはできないまま公訴時効が成立(1975年12月10日)し、未解決事件となった。
この事件の犯人のモンタージュ写真は、おそらくグリコ・森永事件の犯人モンタージュ写真とともに、日本で最も有名なものであることは間違いがない。
金額が大きく、また「劇場型犯罪」でありながら完全犯罪となったため、数多くの小説、映画、ドラマなどの題材となった。
その中で最も印象に残っているのが、TBSで放送されたドラマ「悪魔のようなあいつ」(1975年)だった。
原作は阿久悠、脚本・長谷川和彦、演出・久世光彦、主演・沢田研二の連続ドラマで、主題歌の「時の過ぎゆくままに」もヒットし、紅白歌合戦でもジュリーが歌った。
久世演出らしく、暴力シーンや濡れ場も多く、キャストも若山富三郎、藤竜也、荒木一郎、篠ひろ子、安田道代、伊藤四郎、岸部修三(現一徳)など豪華で、Martinを弾くジュリーの色気も凄みがあった。
しかし、ドラマ放送からもう48年、事件からは55年の月日が経った。