1951年3月21日、国産初の総天然色映画「カルメン故郷に帰る」が公開された。
戦後、アメリカから輸入されたカラー映画は大きなインパクトを与え、日本でも本格的なカラー映画の製作の機運が高まっていた。
そんな中、松竹と富士フイルムが組み、この映画の制作が始まる。
浅間山の麓で育った娘・おきんが、家出をして東京でリリィ・カルメンという名のストリッパーになっている。そのストリッパーが故郷に戻るという物語だった。主演は高峰秀子で、そのメイクや衣装も、カラー映画であることを意識して鮮やかな色彩が選ばれている。
脚本と監督は木下恵介、主題歌は黛敏郎が作曲した。
戦後の復興を目指す日本の中で、自由に生きようとする若者と田舎町のギャップを対比した軽妙な喜劇であり、色彩も躍動している。
わずか73年前の、日本の等身大の姿を感じさせてくれる。