陰陽思想では、奇数が陽の数であり、陽数でもっとも大きな九が重なる日は「重陽」と呼ばれた。
五節句のひとつであり、「重陽の節句」となった。
そもそもは奇数の重なる日は、陽の「気」が強すぎるため不吉とされ、それを払うための行事が節句であった。それが、のちに吉祥とする考えに転じて、祝事をする日となった。
「菊の節句」とも呼ばれ、菊の花が飾られたり、菊の花びらを浮かべた酒を飲んだりもした。
せめて「菊正宗」「菊姫」「菊水」でも飲むか。
怪しさや 夕まぐれ来る 菊人形 (芥川龍之介)
はつ菊や 大原女より 雁の文 (飯田蛇笏)
燈心の 如き白菊 咲きにけり (正岡子規)
早く咲け 九日も近し 菊の花 (松尾芭蕉)
たそがれて なまめく菊の けはひかな(宮澤賢治)
小狐の 隠れ顔なる 菊の花 (与謝蕪村)