1989年に、全国引っ越し専門協同組合連合会が制定した記念日。
その由来は、明治元(1868)年10月13日に明治天皇が入城したことに因んで決められた。
ただこれは、ちょっとあっさり決めすぎた感じがする。
というのも、この年の7月に明治天皇は「江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書」を出し、江戸で政務を執ることと江戸を「東京」を改称することを宣言したのである。しかし、「遷都」の詔勅は結局出されていないのだ、未だに。
これはちょっとわかりにくいが、明治天皇は江戸城に入ったのだが12月初旬に京都に「還幸」し、都に戻ってきたと京都の公家や庶民に安心させる。そしてまた、東京に行幸するという不思議なことを繰り返した。
まあ、「東京遷都」の正式な詔勅を出さないまま、なし崩しに断行したことになったわけだ。
その後、京都には天皇の皇位継承儀式「即位の礼」に必要な玉座である「高御座」は置かれたままで、明治・大正・昭和の天皇の即位の例は京都御所で行われた。ところが、平成と令和の天皇の即位の礼は皇居に高御座を移して行われた。
以前、京都御所に訪れた際、案内役が言うには「もう高御座は京都に戻らないかも知れない」と嘆いていた。
つまり、天皇の本来る場所が東京か京都かは明言されていないことになる。
京都の人には複雑な思いを残す「引っ越しの日」ということになる。