すばらしい女優だった。
画面の中で、その存在感が際立っていた。
「黄泉がえり」、「クローズド・ノート」では、美しく儚い役を演じた。劇中に亡くなるヒロインの役など、そうそうあるものではない。しかし、儚くも散ってしまうその演技が見事だった。
「ストロベリーナイト」、「ミス・シャーロック」では、強い女性を演じた。ビシッと芯の通った役柄は、まるで本来の竹内結子がそうであるのかと感じさせてくれたものだ。
女優は、千の顔を持つ。そんな言葉を、彷彿とさせる存在だった。
もっともっと歳を重ねて、味わい深い役柄を見たかった。
年老いた女性の美しさを、演じてほしかった。
それもこれも、叶わぬこととなってしまった。
2020年の9月28日、竹内結子は40歳という若さで、人生という舞台から降りてしまった。