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  丹波哲郎と「砂の器」
Rakza MAGAZINE

丹波哲郎と「砂の器」

2024.09.24
編集長の独り言
田中 尚雅

今日は、名優・丹波哲郎の忌日。丹波は、2006年9月24日11時27分、肺炎のため三鷹市で死去、84歳だった。

丹波は外国映画10本を含む300本以上の映画に出演し、テレビでも「Gメン」シリーズなどで人気を博した。

しかし敢えて言う、最高傑作は「砂の器」であると。

「砂の器」は、松本清張の原作を松竹と橋本プロダクションの提携で1974年に製作、公開された。脚本:橋本忍、山田洋次、監督は野村芳太郎。

僕の生涯ベスト10に入るこの映画で、犯人を追う今西刑事を演じたのが丹波哲郎だ。加藤剛、森田健作、島田陽子、山口果林、佐分利信、緒方拳、加藤嘉、渥美清、笠智衆などオールスターキャストの中で、丹波がひときわ輝いた。

国鉄蒲田駅操車場で起きた殺人事件を丹波、森田の刑事が追ううちに、逃れられない宿命によって翻弄された父子の姿、そして殺された義父とも言える男の人生が浮き彫りになってくる。

ハイライトシーンは、音楽家となった殺人犯・和賀英良とハンセン病の父親・本浦千代吉がお遍路さんとなり日本中を旅するシーン。

逮捕状を取るための最後の捜査会議で、今西が犯人のこれまでの生涯を語るシーンが圧巻であり、この映画のすべてであると言っても良い。

菅野光亮作曲の交響曲「宿命」(劇中では和賀英良の作品)にのせて、虐げられた父子の旅の風景が重なって映し出される。

その旅の厳しさ、日本の風景の美しさ、人の運命の残酷さ、人間の宿命とは?すべてがそこに込められる。

そして曲の最後は現実のコンサートへと続き、今西と森田扮する吉村が逮捕のために指揮をしながらピアノを弾く和賀に迫る。

もう何度見たか知れないが、日本映画の最高傑作のひとつには違いない。

そして、丹波哲郎の代表作であることも間違いがない。

僕は18歳でこの映画に出会った。そしてテレビの世界を志すようになった。

田中 尚雅
Naomasa Tanaka
クリエイティブ部門を担当する田中尚雅です。MAGAZINの編集長でもあります。
社会が幸福になるには、それを構成する一人ひとりの幸福こそが必須です。 そのために、あらゆる方法で人と伴走したいと考えています。
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