陰陽思想では、奇数が陽の数であり、陽数でもっとも大きな九が重なる日は「重陽」と呼ばれた。
五節句のひとつであり、「重陽の節句」となった。
そもそもは奇数の重なる日は、陽の「気」が強すぎるため不吉とされ、それを払うための行事が節句であった。それが、のちに吉祥とする考えに転じて、祝事をする日となった。
「菊の節句」とも呼ばれ、菊の花が飾られたり、菊の花びらを浮かべた酒を飲んだりもした。
菊といえば大阪府枚方市ひらかたパークでの「ひらかた大菊人形」を思い出す。なかなかの規模で、遠くからも多くの人が集まる人気イベントだった。
しかしながら、子ども心には菊の美しさはわかっても、顔や手足はマネキンであり、なんとも不気味な物にしか見えなかった。小説や映画の「犬神家の一族」をイメージさせるような気分だったのかもしれない。
その「ひらかた大菊人形」は、70年代に85万人もの入場者を集めたが、職人の高齢化や来園者の減少などの理由で、2005年を最後に100年近い歴史に幕を下ろした。
重陽の節句に因んで、今日は菊正宗を飲んでみよう。