永禄10(1567)年、今川氏真との同盟を破棄し東海方面に進出を企てた武田信玄は、そのことに怒った今川氏と北条氏により塩を手にすることができなくなる。
海がない甲斐の国は、駿河と相模からの道を断たれると塩が手に入らなくなるからだ。
そこに長年敵対関係にあった信玄のライバルである上杉謙信から、越後の塩が送られてくる。その塩が到着した日が1月11日であったことから、この日には松本では塩市(現在は飴市と名を変えている)が開かれるようになる。それに因んで、この日が「塩の日」となった。
「敵に塩を送る」の語源ともなったこの逸話だが、どうも事実ではないという説もある。塩を送ったのではなく、甲斐に塩を売ることを止めなかっただけだという説である。
しかし、ここは歴史上の美談として、さらに塩の日の元となった話として、この逸話を信じることにしたい。